NUTMEG [ナツメグ]

科名:ニクズク科 ニクズク属
和名:ニクズク
香りの種類:トップ~ミドルノート
香りのイメージ:温かく、甘みのあるスパイシーな香り
香りの効能:鎮痛作用、鎮静作用、食欲増進作用、消化促進作用、神経強壮作用 など
ナツメグの原産地はモルッカ諸島で、熱帯地方に生育する濃い色の葉と、スモモやアンズに似た約5cmの卵形の大きな黄色い実をつける常緑高木です。種を蒔いてから7年目以降に実がなる成長に時間がかかる植物です。
ナツメグは、古代エジプトの副葬品として発見されており、ミイラを作る際に防腐剤として用いられたのではないかと考えられています。
また、ローマでも「クローブ・ジュニパー・ミルラ」という没薬にナツメグを合わせたものを使った薫香があり、魔除けとして焚かれていた説があります。
ナツメグの香辛料には、種子の部分と種子と実の間にあるメースという仮種皮から作られるものの2種類があります。
種子を乾燥させて作られている香辛料は、甘くスパイシーで強い香りが特徴です。
メースは種子の香辛料に比べるとマイルドで甘い香りが強いためフレンチトーストやプディングなどの風味づけ、香りづけに使われることが多いです。
「ムスクの香りがする豆」の意味を持つナツメグの和名はニクズクで、名前の由来の通りムスクを思わせるエキゾチックでスパイシーな香りが特徴です。
粉末にしたナツメグは、水蒸気蒸留によって精油になります。
ナツメグの精油は香水のほか、製薬などに利用されています。
ナツメグの精油の主成分はα-ピネン・サビネンなどで、これらの成分は鎮静作用を持つと考えられています。
そのため心を落ち着けたいときには穏やかさや安定感を与えてくれます。
またその一方で心が落ち込んで、ネガティブになったときにはスパイシーで温かみのある香りが気持ちを高めたりモチベーションや集中力を上げる手助けとなってくれます。
スパイス系の香りであるナツメグの精油は、同じスパイス系や柑橘系の香りと相性が良いです。
それ以外にも、ウッディー系やハーブ系の精油とのブレンドもおすすめです。
好みの香りを見つけて芳香浴を楽しんでみてください。
ナツメグに含まれるミリスチシン・オイゲノール・エレミシンなどの成分が、ラットの海馬のセロトニン・ドーパミン・ノルエピネフリンの効果を高めることが研究でわかっています。
ナツメグに含まれるミリスチシンは、幸せホルモンといわれるセロトニンの効果を高める反面、摂取しすぎると「ナツメグハイ」になることがあります。
ナツメグハイとは、交感神経系に影響を与え、幻覚・興奮・めまい・吐き気などの副作用を引き起こすことです。
過去にナツメグの過剰摂取による死亡例や幻覚などを起こしたという事例もあるため、子どもが誤まってナツメグを大量に口にしてしまわないように注意しましょう。
またナツメグの精油は、妊婦の方や持病がある方、体調が悪いときなども香りの影響が強く出る可能性があるため使用は避けてください。
なお、一度に多量に使用しないこと、原液で使用せず、必ず植物油(キャリアオイル)で希釈して低濃度で使用してください。